テンポと姿勢は歩く力
膝の痛みと使い過ぎのランナー膝
日々是はり灸接骨日和ニュースレター2022vol.2
元気にお散歩、歩く力と姿勢力
春の日差しと心地よい風が吹くようになると、冷たい風が吹く冬の散歩とは違い、色づき始めた草花を見ながらゆっくりと散歩が楽しめるようになります。
草花を見ながらゆっくりと歩くのもいいのですが、健康維持を考えると姿勢や歩く速さが重要になってきます。
テンポ良く歩いて
草花に気を取られていると足下がおろそかになってつまずいたり、踏み外したりなど転倒の原因にもなるため、草花や景色を楽しむ時は足を止め、歩行中はテンポ良く歩くよう心がけるようにしましょう。
ここで気になるのがテンポで、歩く速さは1秒で1mが基準となるようですが、小股でちょこちょこと歩いたり、前屈みなり足を引きずるよう歩いていては、速く歩けても腰や膝に負担がかかってしまします。まずは、1歩1歩を脚の運びや手の振りに気を付けながら、リズミカルに脚が出せるように心がけ、歩幅にも注意しながら、始めはゆっくり、慣れたら段々と速くしていきましょう。
特に歩幅は、筋力が低下すると片脚で体を支える力の衰えからバランスを崩しやすくなり歩幅が狭くなります。散歩で歩くだけでは、衰えた足腰の筋肉を鍛えるのには不十分なため、自宅で体幹や脚を鍛える運動を取り入れながらバランス力を高めることで、テンポ良く歩くことができ、転倒予防にもなります。
歩く力と筋肉
立つ・座る・歩くなどの基本的な移動動作には、下肢や体幹の筋肉を鍛える筋力トレーニングが有効です。体幹や下肢の筋肉の衰えは、歩行の姿勢にも関わってくるため、体幹の安定に関わる腹横筋、腹斜筋などや骨盤と脚をつなぎ、膝や足首を動かす下肢の筋肉(大腿四頭筋、大殿筋、中殿筋、ハムストリング、下腿三頭筋、前脛骨筋など)のトレーニングが重要となります。
無理のない運動から始めましょう
普段、運動しない人にとっては、筋力トレーニングと聞くとハードルが高く感じられる人もいますが、スポーツ選手のようなハードな筋力トレーニングではなく、座った姿勢で力を入れたり抜いたりする運動から始めて、徐々に動きのある運動へと進めていくことで無理なく運動が続けられます。
ちょっとお尻上げスクワット
椅子から少しだけお尻を持ち上げた姿勢を保つ運動です。最初、慣れるまでは、転倒予防のためテーブルに手をついて行うようにしましょう。
- お尻を椅子から10cmほど持ち上げた状態を10~30秒ぐらい保つようにします
- お尻を上げる時は素早く、腰掛ける時はゆっくりを意識してください
ポイントは、足を手前に引いて椅子に浅く腰掛けることです。余裕があれば、太ももやお尻の筋肉に触れて力が入っているか確認してください。
歩行と姿勢
歩行時姿勢は重要で、体幹や脚の筋力が衰えてくると背中が丸くなったり、前のめりに歩くようになり、前のめりの姿勢では、脚を上げにくく段差などでのつまずきの原因になります。脚を上げにくいのは、脚の筋力の衰えだけが原因ではなく、体幹を支える力の衰えも原因となるため、脚だけでなく体幹の筋力トレーニングも重要となります。
ちょっとだけ腹筋、背筋
座ってペットボトルを持って腕を伸ばす
水を入れたペットボトルを重りにして、ゆっくりと手を伸ばし、その姿勢を保つようにします。姿勢は、体を反らせないで、床と垂直を保つように意識しましょう。
座って体でボールを押す
手ではなく腹筋を意識して、体で押すようにします。
体幹を安定させ、ふらつきを減らすには、背骨を支える背部と腹部の筋肉運動は重要です。転倒予防や歩行力の向上にコツコツと運動をしましょう。
接骨・鍼灸施術で治す!腸脛靱帯炎(ランナー膝)
ランナー膝は、ランニングなどによる膝関節周辺のスポーツ障害の総称で、腸脛靱帯炎、鵞足炎などさまざまな病態が含まれますが、通常、ランナー膝というと腸脛靱帯炎を指します。
ランナー膝「腸脛靱帯炎」
腸脛靱帯炎は、膝の外側にある腸脛靱帯が炎症を起こし痛みがあらわれるスポーツ障害
原因と症状
腸脛靱帯炎はランニングによる体表的な膝の障害です。原因は、膝の屈伸運動を繰り返すことによるオーバーユースで、腸脛靱帯が大腿骨外側上顆と擦れることで炎症を起こし、疼痛が発生します。
特にマラソンなどの長距離ランナーに好発しますが、バスケットボール、水泳、自転車等膝の曲げ伸ばしの多い競技で発生し、主な要因はオーバーユースですが、柔軟性不足、休養不足、硬い路面や硬いシューズなどの環境的要因、下肢アライメント(内反膝や回内足)などが絡み合って発症します。
症状は、大腿骨外顆周辺に限って圧痛が存在し、腸脛靱帯の緊張、時に靱帯の走行に沿って疼痛が放散し、初期は運動後に痛みが発生し、休むと消失します。しかし、運動を続けていると次第に疼痛は強くなり簡単に消失しなくなってきます。
接骨治療と鍼灸治療
オーバーユース(過度の運動)が発症の大きな要因ですので、局所の安静と大腿筋膜張筋など股関節の外側にある筋肉のストレッチ・マッサージ、温熱・通電療法などの理学的施術に加えて鍼灸施術による保存療法が中心となります。
アプローチの異なる接骨治療と鍼灸治療は、お互いを補完し、より効果的に治療を進めることができます。
鍼灸施術で積極的治療
腸脛靱帯炎は、治るまでに数ヶ月かかることもあるため、傷めてしまったら安静にするだけでなく積極的な治療を行う必要があり、理学的施術と合わせて鎮痛・鎮静、柔軟性の改善に鍼灸施術をおすすめしています。
鍼灸施術は、腸脛靱帯を中心に筋肉の柔軟性を高めことと、炎症や痛みの緩和が第1の目的となり、続いて、腸脛靱帯炎は、オーバーユースだけが要因ではなく、O脚や筋肉のアンバランスなど下肢の状態に問題があることが多く、腸脛靱帯とつながる大腿部や殿部、下腿部の筋肉の柔軟性高めることやオーバーユースによる筋筋膜の歪みを解消するなど痛みのある障害部位だけでなく、経脈、経筋、経線などを活用して随伴部位も含めた施術を順に進めて行きます。
鍼灸施術で目的と効果
- 患部の鎮痛・鎮静
- 腸脛靱帯の柔軟性を高める
- 下肢の筋肉バランスを整える
- オーバーユースによる筋筋膜の歪みを整える
ランナー膝は、スポーツで起こりやすい障害ですので、競技の再開に向けて痛みの解消だけでなく、再発予防を含めリコンディションニングが必要となります。
関節・筋肉のケガ障害の治療や予防については、接骨・整骨院、鍼灸院にご相談下さい。
- 接骨院と整骨院は同じです
- 接骨・整骨、鍼灸、あん摩・マッサージ・指圧施術には、国家資格が必要です
整体とは、文字通り体の関節や筋肉を整えることで、接骨・整骨、マッサージなどの治療施術やコンディションニングなどの施術に含まれています。
食べて元気!~バナナ
バナナの栄養
カリウム、食物繊維、ビタミンB群を含むフルーツで、皮をむくだけで手軽に食べられる食べ物で、バナナに含まれるカリウムは、ナトリウム(塩分)を排泄する作用があり、血圧が高い人、むくみやすい人にはおすすめです。また、熟したバナナほどポリフェノールの含有量が高く抗酸化作用がるので、熟してシュガースポットが出てきたバナナがおすすめです。免疫力を高めるには、栄養バランスの取れた食事はとても大切です。バナナだけでなく、季節の食材などをバランス良く摂るようにしましょう。
バナナと言えばお猿さん
バナナと言えばお猿さん、切っても切れない関係のようなイメージでしたが、人間が食べるように品種改良されたフルーツは、野生のものに比べて糖分が多く、たんぱく質と食物繊維が少なく、お猿さんだけでなく動物の健康にはあまり好ましくないようで、摂りすぎによる糖尿や虫歯などの原因になるという記事を見かけました。もし、甘みも少なく、繊維質の多い野生のバナナを人間が美味しく食べるとなると、少し工夫が必要かもしれませんね。
あとがき
暖かくなり、気温だけでなく若葉がさらに春を感じ、草木が目覚めるように伸び始め、遠くへ足を伸ばさなくても近くを散策するだけでも意外な発見もあります。
元気に歩き続けるためには、脚の力だけでなく体を支えるバランス力も大切です。まずは、姿勢を意識して膝の負担を減らし、楽しく歩くようにしてください。
また、スポーツをされる方は、ランニングや自転車など、体を鍛えるには良い気候ですが、スポーツでは、膝に負担がかかること多く、オーバーユース(使い過ぎ)によるケガを起こしやすいところでもあります。
今回は、ランナー膝(腸脛靱帯炎)を取り上げましたが、鵞足炎、膝蓋靱帯炎などの膝に発生する他の障害もあります。
使い過ぎに気を付けて、体調に合わせて運動メニューをまめに見直してください。
春分も過ぎ、すぐに夏となります。体調管理をしっかりとしましょう。
健康を維持するためのスポーツやトレーニング、関節や筋肉のケガによる痛みの治療についてなど、接骨院・鍼灸院ニュースレターです。
トレーニングや食事などの記事については、体調、体質に配慮して自己責任でお願いいたします。
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