肩こりの解消と僧帽筋への鍼灸治療
日々是はり灸接骨日和ピックアップ Vol.05 No.03
肩こりと僧帽筋
「肩こりは、病名ではなく症状です」ということで、肩にコリを感じると肩こりですので、頸椎捻挫や肩関節障害などのケガや障害が原因であったり、姿勢不良や腕の使い過ぎなどいろいろあります。また、肩こりと言ってもコリを感じるところが、首筋であったり、肩上部、頸背部など個人差があります。
肩甲骨の位置異常や機能障害も肩こりの原因となりますが、今回は、肩こりの中でも一般的な疲労性肩こりの鍼灸治療として僧帽筋を中心に進めていきます。
僧帽筋は首から肩、背中と広がる大きな筋肉で、肩甲骨を引き上げ首をすくめたり、肩甲骨を背骨によせる動作で使われる筋肉ですが、肩甲骨は腕の動きと連動するため、腕を挙げる、手を前に伸ばす、後ろに回す動きであったり、頭部を支える筋肉でもあるため姿勢の維持にも関係してきます。
僧帽筋の位置と作用
僧帽筋は、背中の大きな筋肉で後頭骨から第7頸椎、全胸椎の棘突起から始まり、鎖骨外側、肩峰、肩甲棘に停止します。位置と作用で肩甲骨を引き上げる上部線維、体幹に引き寄せる中部線維、引き下げる下部線維に分かれています。
疲労性肩こりと鍼治療
疲労性肩こりの解消として一番にアプローチするのが僧帽筋となります。僧帽筋上には、多くの経穴（ツボ）がありますが、肩のコリを感じると揉んだり、トントンと叩いたりするところは、僧帽筋の上部、中部線維あたりになります。
上部、中部線維を中心に首筋を含めて経絡別に経穴をあげてみました。
この中から、症状の改善に適切な経穴を選び鍼治療を進めていきます。
たとえば、頚の後ろあたりのコリ感や痛みであれば天柱と大杼、頚部の側面から肩上部なら風池と肩井などを選び施術を行います。
鍼施術の目的は、筋肉の過度な使用や姿勢の不良から起こる筋・筋膜の癒着や歪み、血行不良を改善し筋・筋膜を健全な状態に戻すことです。
鍼を刺すことを刺鍼といいますが、刺鍼により筋・筋膜やその周囲の血管・神経が刺激を受け、痛みの抑制、血流の改善などの反応が起こります。この時、経穴（ツボ）が効果的な反応ポイントなります。
鍼通電療法
過度な筋緊張があり痛み、不快感が強い方には、鍼施術法の1つに鍼通電療法があります。これは、刺鍼した鍼に微量な電気を流し筋肉を刺激する方法です。通電すことに不安を感じられる方もいますが、一般的な皮膚を通しての経皮通電と比べ、筋・筋膜に直接的に通電することができるため、ピリピリ感もなく効果的な刺激ができます。
鍼治療は、皮下組織を刺激する程度でも十分な効果が得られることもあるため、すべての肩こりに鍼通電を行うわけではなく、症状、体質などを考慮し進めていきます。
遠隔施術
遠隔施術は、鍼灸治療の特徴的な施術の1つで、経絡、経筋を考慮した治療法です。
痛みや不快のある経絡、経筋を特定し手足など患部から離れた経穴（ツボ）を刺激することで症状の改善を行います。
この施術法は、西洋医学に慣れた方には訝しく感じられるかもしれませんが、東洋医学特有の理論と臨床経験から効果のある施術法です。
日々是はり灸接骨日和ピックアップ記事2022vol.02
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疲労性肩こりの施術についての掲示板
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掲載日：2024/07/10
更新日：
あとがき
肩こりの鍼灸治療として僧帽筋を取り上げましたが、背部の筋肉は浅背、深背と層になっていて、コリや痛みの原因が体表に近くの僧帽筋だけでなく、深層の筋肉にも問題がある場合、鍼治療では刺鍼深度を調整することで、深層筋肉へ効果的にアプローチできることが経皮通電やマッサージとの違いとなります。
マッサージの特徴を考え、鍼治療を組み合わせることは、相互補完だけでなく相乗効果もあり、疲労性の肩こりだけでなく、運動器疾患にも効果のある施術の組み合わせです。
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