南接骨院・鍼灸院
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腰痛と中殿筋への鍼灸マッサージ

日々是はり灸接骨日和
ピックアップ vol.06 No.01

中殿筋へのアプローチ

腰痛の原因には、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄、腫瘍など特異的な原因を除けば、椎間板やその周囲の機能障害、仙腸関節や筋筋膜障害などが腰痛の原因となります。

今回のピックアップは、腰痛改善のためのアプローチポイントとなる中殿筋への鍼灸・マッサージ施術についてです。

中殿筋はどこで何する

大殿筋の深部にある筋肉で、大殿筋、中殿筋、小殿筋と層になっています。

  • 起始:腸骨の殿筋面、前後殿筋線の間、腸骨稜の下
  • 停止:大腿骨大転子外側
  • 神経:上殿神経(L4・5・S1)

作用は、外転・伸展・外旋・屈曲・内旋となりますが、外転を除くと伸展と屈曲、内旋と外旋は正反対の動きとなります。これは、股関節の角度で働きが変わるためですが主動作は股関節の外転動作で、脚を外方向に動かす動作です。

日常生活で脚を外に押し出す動作はあまり多くありませんが、姿勢の維持や歩行動作では、中殿筋が重要となります。股関節を安定させ、骨盤の動きを制御することで姿勢を保つことができます。

中殿筋は下肢と体幹をつなぎ、体の外ブレを安定させる筋肉となるため、筋肉が過度に緊張したり、逆に弱くなるなど機能が低下すると体幹がブレて不安定となるため、腰椎や股関節のストレスとなり腰痛を起こす原因となります。
立位での作業などでは、体幹の支える骨盤の安定性は重要で、中殿筋の機能が低下すると股関節を挟んで大腿内側にある内転筋群にも影響し、腰痛だけでなく膝痛と広がっていきます。

鍼灸マッサージでのアプローチ

中殿筋の過度な緊張を取り、弱くなっている筋肉の機能を改善することを目的に鍼灸・マッサージ施術を行っていきます。(マッサージと書きましたが、物理療法・手技療法・運動療法など理学的アプローチになります。)

  • 鍼施術で痛みの抑制と血流改善、筋緊張を弛めたり、弱くなった筋肉を刺激し機能の回復
  • マッサージ・ストレッチなどの手技にて伸張性・滑走性・筋筋膜の歪みの調整
  • 筋肉が正常に機能するように運動療法と指導

鍼はどこに打つ

中殿筋の鍼施術では、中殿筋の始まりとなる腸骨稜の下から大腿骨大転子周囲への刺鍼を中心にアプローチします。ここには、経穴が少ないため筋筋膜の硬結点、圧痛点が治療ポイントとなります。

なぜ、腰痛に中殿筋への鍼灸・マッサージ

腰痛では、体幹を支える腰方形筋に障害を起こすことが多く、腰方形筋は、腰椎と腸骨をつなぐ筋肉で、中殿筋とは腸骨の上下関係にあり、体幹の安定を側方から支える腰方形筋、骨盤の傾きや安定に中殿筋が作用し姿勢を保ちます。傾いた姿勢や中腰で踏ん張る動作など、不適切な動作の繰り返しや不良姿勢などから、中殿筋や腰方形筋に疲労が溜まり腰痛の原因となるためです。

中殿筋イラスト

腰痛と中殿筋の結び

腰痛の治療では、腰部の筋肉だけでなく骨盤を安定させる筋肉も重要で、慢性化した腰痛や繰り返す腰痛では、中殿筋に問題がないかをチェックする必要があります。
中殿筋・腰方形筋に問題があれば、体幹と下肢の連動・連鎖性から足の少陽・陽明経筋や筋筋膜経線であるラテラルライン(LL)へのアプローチも必要となります。

今回は、腰痛がなかなか改善されない原因の1つとして中殿筋を取り上げてみました。

腰痛で殿部に痛みがあると腰椎椎間板ヘルニアを疑いますが、梨状筋症候群や上殿皮神経障害など他にも殿部痛を起こす疾患があるため、しっかりと症状を聞いて検証していく重要性を感じます。

あとがき

鍼施術では、鍼を刺すことを打つといいます。学生の時から「鍼を打つ」と言っていましたが、なぜ打つと言うのか私もわかりません。ただ、日本の鍼施術では、鍼より少し短い管状の鍼管に鍼を入れて刺鍼します。鍼管は鍼より5mmほど短いため出ている鍼を指先で打ち込むように刺入することから刺すではなく打つとなったのではと勝手に思っています。
鍼に不安を感じる人も多いので、「今から鍼を刺します!」よりは「打ちます!」の方がいいのかな?です。

ピックアップ記事は、運動や食事、鍼灸治療など健康に関わることについてニュースレターの補完として掲載しています。

トレーニングや食事などの記事については、体調、体質に配慮して自己責任でお願いいたします。

  • 掲載日:2025/01/11
  • 更新日:

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