膝の曲げ伸ばしでの痛みと膝蓋下脂肪体
膝の痛みと鍼灸・接骨治療
日々是はり灸接骨日和ピックアップ vol.06 No.02
膝痛を起こす原因の1つ、膝蓋下脂肪体とは
膝の痛みを起こす組織として、靱帯、半月板、滑液包などがありますが、膝蓋下脂肪体も原因となる組織の1つです。
今回、ピックアップした膝蓋下脂肪体は膝関節のどこにあるのかというと、文字通り膝蓋骨(膝のお皿)の下方にある脂肪組織で、膝関節への衝撃を和らげたり、動きをスムーズにする大切な役割があります。
膝蓋下脂肪体は、膝を伸ばして膝蓋骨の下にポニョポニョと触れることができるますが、膝を曲げると関節内に移動して触れることが難しくなります。

膝蓋下脂肪体が原因の膝の痛み
膝蓋下脂肪体が原因となる膝の痛みとして、膝蓋下脂肪体炎(Hoffa病)があります。
膝蓋下脂肪体炎(Hoffa病)は、捻挫・打撲などの外傷やスポーツや仕事での過度な負荷が原因で起こる膝関節の障害で、お皿下の脂肪体が腫れ、膝関節の運動にともない膝の前面、お皿下(膝蓋骨)に強く痛みがでます。
Hoffa病(膝蓋下脂肪体炎)は、年齢に関係なく起こる可能性がありますが、ケガや使いすぎが原因となることが多いため、20代、30代の活動が盛んな年齢に多い傾向があります。ただ、活動が盛んな若者だけでなくても、中高年で歩き方が悪い歩行動作の不良があったり、変形性膝関節症がある場合などでは、腫れや炎症が強くなくても膝蓋下脂肪体が硬くなり柔軟性が低下することで痛みを起こすこともあります。
膝蓋下脂肪体には、痛みを感知する自由神経終末(侵害受容器)や豊富に存在し、炎症や腫れだけでなく線維化による滑動性の低下でも痛みが出やすくなります。
モヤモヤ血管と痛みと膝蓋下脂肪体
モヤモヤ血管とは、不自然に増殖した異常な血管で、繰り返す過度な負荷などが原因で、損傷組織の過剰な修復反応が原因といわれていて、異常な新生血管の増殖が神経を刺激して痛みを強くし、長引く原因と考えられています。
膝蓋下脂肪体のまとめ
- 膝関節のクッションであり、関節の滑動性を高める重要な組織
- 膝蓋骨の下方にあって、膝の動きに合わせて移動する
- 膝蓋下脂肪体炎(ホッファ病)は、膝蓋下脂肪体への過度な負荷やケガが原因となる
- 線維化などで硬くなると滑動性が低下して痛みを起こす
- モヤモヤ血管が痛みを強くし、長引かせている可能性がある
膝蓋下脂肪体が原因での鍼灸・接骨治療
膝関節は、膝蓋大腿関節(膝蓋骨(お皿)と大腿骨の関節)と脛骨大腿関節(大腿骨と脛骨の関節)からなります。
それぞれの関節の動きと膝蓋骨、大腿骨、脛骨の位置関係、大腿四頭筋の緊張状態、膝蓋下脂肪体の動きなどをチェックしてアプローチ方法を決め治療を進めます。
炎症がある場合は、患部への強い刺激を避けるようにしながら治療を進めていきます。
鍼灸・接骨治療のポイント
- 膝蓋下脂肪体の柔軟性とスムーズな動きへの改善
- 大腿四頭筋の筋肉の過度な緊張を解消
- 膝蓋大腿関節、脛骨大腿関節の調整
膝蓋下脂肪体の柔軟性を改善し関節内でのスムーズな移動性を高めることや歩行動作不良や膝蓋下脂肪体の癒着などから大腿四頭筋にストレスが強くなり過度な緊張や滑走性が低下していることがあるため、膝蓋下脂肪体の柔軟性の改善、大腿四頭筋の筋筋膜のリリースを目的に鍼灸施術よる直接アプローチや接骨施術での理学的施術をおこないます。
膝蓋骨や大腿骨、下腿骨の位置関係や動きは重要ですので、歩行動作不良や変形性膝関節症など関節にストレスが多い場合、脛骨大腿関節に捻れが生じていることが多く、調整していく必要があります。
あとがき
膝関節は、股関節・足関節の可動性が高い関節の動きをサポートするため、安定性が重要となるスタビライザー関節ですので、股関節・足関節の動き(運動連鎖)が膝の痛みと関連することも多く、股関節・足関節も重要なポイントなります。
気候もよくなり活動的になる季節ですので、ウォーキングや山歩きなどで歩くことは、心肺機能を高め健康維持におすすめです。
背筋を伸ばし膝に負担をかけないよう正しい姿勢での歩行を心がけましょう。
ピックアップ記事は、運動や食事、鍼灸治療など健康に関わることについてニュースレターの補完として掲載しています。
トレーニングや食事などの記事については、体調、体質に配慮して自己責任でお願いいたします。
- 掲載日:2025/04/07
- 更新日:
健康ライフ情報
local_libraryニュースレター
関節や筋肉のケガや痛み、体の健康についてなど接骨院・鍼灸院の情報誌「日々是はり灸接骨日和のニュースレター」のトップページです。
articleケガ・痛み別での掲載
肩・腰・手腕・脚・健康とニュースレター、ピックアップを分類して掲載してあります。
sentiment_very_dissatisfiedケガと障害の治療
日常生活やスポーツでのケガや障害を首や腰、肩、肘、手首、膝、足首、股関節など部位別で原因や症状、治療方法などを掲載しております。
fitness_center運動・体操
健康を保ち元気に過ごすためには、運動や体操は大切です。
ケガの予防、加齢による体力低下の予防、ケガから復帰など筋力トレーニング、ストレッチなどの運動・体操を掲載してあります。
dashboard院内掲示WEB版
スポーツでのケガや腰痛、肩こりなど鍼灸治療、吸角施術、接骨・整骨施術について院内に掲示しているものを掲載しています。
thumb_up接骨院・鍼灸院
「ケガを治す、体を整える、体調を改善する」、接骨・鍼灸院の内容とかかり方の説明ページ
help鍼灸・吸角施術とは
鍼と灸、吸角(カッピング・吸い玉)を使用して刺激を行い、ケガや病気の治療やリラクゼーション、コンディションを行う施術です。
createゆるりと月記
月単位での掲載で、接骨・整骨、鍼灸施術の治療だけでなく、健康についてや趣味や出来事など、広くゆるくですが書いています。